アークニュース

佐賀県のブリーダーによる犬虐待事件(2)

2007年02月08日

【2007年2月8日】

佐賀県入りした私たちは、佐賀市内のM氏の経営するペットショップに立ち寄りました。
保健所の話では、65頭の犬がまだ店に残されているとのこと。
人々の視線をさえぎるため、店の道路側は建物も小屋も板で囲われています。
裏側にまわると、以前と同じケージに同じ状態で柴犬が収容されているのが見えます。
何も変わっていません。保健所職員は毎日そこに立ち寄って、週に1、2度中に入れるのに、オーナー(ブリーダー)に事態を改善させることも、残っている犬の所有権放棄を促す説得もなされていない様子でした。

保護された犬の現状を知るため、メディア取材陣とともに佐賀県職員と面会しました。
2007年1月19日、佐賀県はM氏の了承を得て、鹿島の繁殖場から55頭、ペットショップから7頭の犬を保護しました。彼らは現在3ヶ所の保健所に収容され、少しずつ地元の動物病院で診察を受けていますが、なかなかはかどりません。長崎から来た獣医は、2頭の重症患者を引き受けました。
体重わずか3.3kgの柴犬と筋肉衰弱が著しいボーダーコリーの若犬で、柴はまだ自力で立てず、ボーダーコリーはやっと歩けるまでに回復したとのこと。

現行の法律下では、県当局としても、施設に立入って残っている犬全部を押収することはできないため、さらに多くの犬が苦しみ、死んでいこうとも、悪質業者の気まぐれを頼りに傍観する以外に打つ手がありません。

佐賀県が残りの犬救出に難渋するとしても、すでに管理下にある犬の扱いについては釈明の余地がないはずです。救出後3週間もたつというのに、いまだに不妊去勢手術はおろか、寄生虫駆除も、耳ダニ、ノミ対策も実施していません。犬たちは皮膚病と下痢に苦しんでいます。日当たりも通気性も悪く、暗い、じめじめしたコンクリート建築の中で衰弱しています。シャンプーもブラッシングもされず、散歩も行われていません。
これでは犬たちを「生き地獄」から救出したといっても、別の「中世式牢獄」に移しただけではありませんか。柴犬と秋田犬は寒さには強いものの、陰湿で寒い飼育環境は犬をいっそう弱らせるものです。

佐賀県の杵藤保健所には42頭が入っていますが、過密状態で雌雄入り混じって収容されています。
1頭の雌犬は妊娠している様子なのに、保健所の獣医はそれに気づいてもいません。柴犬2頭が狭すぎるケージに押し込まれているのは、保健所の言い分では大きなケージがないため……とか。
またマットが濡れても予備品がなくて取り替えられないという有様。唐津保健所はそれほど込み合っていないものの、犬たちは、敷きマットもなく、濡れたコンクリート床にじかに寝かされています。

すべての犬をできる限り早く収容所から出して新しい飼い主に引き渡すことが不可欠だというのに、佐賀県は、治療、不妊去勢手術、里親さがしなどの実施については「ボランティア獣医師」に頼ろうとしています。獣医師の数が不足しています。どうして、県が雇っている獣医が何もできないのでしょうか?
佐賀県は“何もできない”獣医師をなぜ雇っているのでしょうか。犬の飼い主募集については、県が人目を引くポスターを作成し、もうすでに、掲示されているはず…と皆さんは思うでしょう。
いいえ、まだです。3月初旬に発行される県の広報誌で、里親募集を呼びかける予定だと県は言っています。それでは、あまりにも遅過ぎるのではありませんか。繁殖業者からさらに多くの犬が来れば、行政は対応しきれないでしょう。

新しい動物愛護管理法では、すべての動物繁殖/販売業など動物取扱業者は、5月末までに都道府県に登録しなければなりません。私たちの推測では、ブリーダーは登録を拒否され、犬を手放さざるを得ないでしょう。
飼育放棄と虐待という“前科”があるにもかかわらず、もしも佐賀県知事が登録を認めるようなことがあれば、それは大問題です。

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