【特集】 ミルクのお話
【特集】 ミルクのお話 (投稿:2011年7月11日)
「あの地震以来犬たちも精神的にまいってしまったようで・・・」 こんな相談から始まった今回の被災ブリーダーからのレスキュー。(http://drupal.animalrefugekansai.org/?q=ja/node/3038)数が多いため、数回に分けてレスキューを行ってきましたが、その第一弾で東京ARKへやってきたミルクのお話をします。
ARKのスタッフが初めて被災ブリーダーのもとを訪れた時、そこには100匹以上もの犬が溢れていました。まさに「犬まみれ」状態。大半を占めるのはチャイニーズクレステッドドッグやトイプードル、またそのMIXたちでしたが、そんな中、たった1匹だけフレンチブルドッグがいました。3歳のメス、ミルクです。・・・ブリーダーも給餌はしっかりとしていたのでしょう。ミルクはどっしりと栄養満点な体格でそこにいました。色つやもよく、震災のショックなどほとんど感じさせない風貌です。
2011年4月28日、そんなミルクも他の子たちと一緒にバンに乗せられ、東京へやって来ることになりました。中田動物病院で健康チェックを受けた後、震災後に新しく登録してくださった一時預かりボランティアさんのお家へ行きます。(ボランティアさんには、子ブタちゃん体型のミルクちゃんに少しダイエットをしてもらうようお願いしました。) さあ、ここからが本番!新しい家族を見つけなければなりません!!
ほどなくして、東京ARKのオフィスに1通の里親事前調査書が送られてきました。それはウルグアイの大使館からで、ARKから犬を1頭迎えたいという相談でした。お話をうかがうと、特に鼻ペチャの子を希望されているとのこと。・・・はやくもミルクにチャンスがやってきたのです!
しかし、慎重にならなければいけないことがありました。大使館にお勤めの方ということは、いつか自国へ戻られる日が来る。その時はたしてミルクを一緒に連れて帰って下さるのだろうか。ただ簡単に飛行機に乗せればいいというわけではないことをよくご理解されているのだろうか。不安の胸の内を告げたスタッフでしたが、それも余計な心配であったとすぐにわかりました。この方はまさにウルグアイ大使その人で、その辺の事情についてはもちろんよく!よく!ご存知で、先々のことまでよく考えて下さっていたのです。
それならばと里親会でミルクをご紹介すると、そのドテッとした姿に大使は一目で恋に落ちてしまい、数日間一緒に過ごした後、めでたく里親契約のために東京ARK事務所へいらっしゃいました。大使とミルクはすっかり仲良しで「ミキ、ミキ」とミルクのことを呼ぶ大使の声には愛情が溢れていらっしゃいました。
今回の震災では、世界中の方が日本に対して様々なかたちの支援をしてくださっています。ARKも海外からたくさんの方に温かいお言葉をいただいております。そんな世界中の優しい気持ちを象徴する出来事が、今回のミルクのリホームではないでしょうか?これまでブリーダーのもとで暮らしてきて、被災し、東京へやってきて、たくさんの人の愛情に支えられたミルク。そしてこれから先はウルグアイ大使がずっと一緒にいてくださいます。なんて幸せなミルク!ヒトの人生もいろいろですが、イヌの犬生もいろいろなんです。・・・小さな命が見事につかんだ大きなセカンドチャンスのお話でした☆