東京ニュース

フォスターさんからのお便り

2009年12月01日

<東京アーク>

東京アークにはシェルターがありません。
そのため、こちらで保護している子たちは、フォスターという
一時預かりボランティアさんのご家庭で預かっていただいています。

東京アークは、フォスターさんがいなければ成り立ちません。
動物たちのために、家族と同じように愛情を注いでくださっている
フォスターさんに、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。

そんな中、大山未和さん(猫のジャクソンのフォスターさん)から心温まるお便りをいただいたので、
掲載させていただきました。

フォスターファミリーの経験

初めてのフォスター経験はデュ-クとダッチェスという猫の兄妹でした。
香港から仕事で日本にいた英国人の方にレスキューされその方が遠い香港に連れて帰るための書類などの準備期間の約2ヶ月間私の家で過ごしました。それまで犬は飼った経験がありましたが猫ちゃんは初めてでした。子猫という事もあり小さくて初めは緊張しましたがARKの皆さんがとても丁寧に質問や疑問に対応してくれたのですぐ世話にも慣れました。引渡しの時にその方にもお会いすることができレスキューされた時のお話なども聞く事ができました。その方は日本語もよくわからずレスキューされた時獣医さんに連れて行ったときには猫の問診表に自分の名前を書いて提出したりと大変だったそうでARKがいてくれて本当に助かったとおっしゃってました。さようならを言うのがとてもつらくなりましたがやはりレスキューされた方に香港からわざわざ迎えに来てもらえるなんて大切に家族として暖かくむかえてくれると思いさびしかったけど笑顔で見送ることができました。その方はレスキューされた時の姿にとても心をうたれどうしても幸せにしてあげたいと強く思ったそうです。

(左がおとなしい妹のダッチェス、右がわんぱく兄のデュ-ク)

そんなこんなで約半年がすぎました。この半年間家族の間ではデュ-クとダッチェスはかわいかった、猫ってこんなにかわいいものなんだねという会話が幾度となく繰り返されてきました。
7月の中旬にARKからメールをいただきました。ジャクソンという9ヶ月の男の子の猫ちゃんがフォスターさんを探していると。送っていただいた写真には小さい猫ちゃんが人のおなかの上ですやすや眠っています。旅行が決まっていたのでそれまでの一時預かりで急いで引き取りにARKまで行きました。
ARKのオフィスには他にも引き取り手を待つ手のひら位しかないちっちゃな猫ちゃんも2匹スーパーボールのように部屋を飛びまわっていました。お隣の部屋にはとても暖かな茶色の忠実そうな目をしたわんちゃんも引き取り手を待っていました。ああ、宝くじが当たったら行き場のないたくさんの子たちを引き取れるのに、自分が芸能人だったらもっとARKの運動に役立てるのになどと夢のような考えが頭をよぎります。その中にジャクソンがぽつんといました。ストレスでの鼻炎で小さい鼻は息も苦しそうでした。鼻から血の混じった鼻水が止まりませんでした。目も涙が止まらず血が混じったような目ヤニが出続けていました。アリやノミにたかられていたので獣医さんにきれいにしてもらい背中は毛がそられていました。必要な事項を教えていただき早速家に連れて帰りました。

その日はジャクソンは食事も水も受けつけず泣いていました。ずーっと泣いていました。夜になっても30分おき位にはっとしたように飛び起き泣き続けました。ほとんど眠れず朝がきました。私はもしかしたらジャクソンは精神的に病んでしまっていて私では世話ができないかもととても弱気になりそして自分にがっかりしました。以前のフォスター経験と全く違うスタートで戸惑いました。24時間ほとんどずーと泣いている状態でしたので私もどうしてよいか分からず困ってああ私じゃ世話ができないと口から漏れました。そうしたら母が私に言いました。“だってこの子まだ赤ちゃんでしょ。色々状況が変わってにおいもかげないし目もよく見えないで精神的に極度に不安になるのは当たり前。泣き続けるには理由があるのだからそれが対処できずにどうするの。”と言われはっとしました。小さなピンクの手もかさぶたがあり爪がぼろぼろでした。きっとひどい状況の中赤ちゃんなりに一生懸命生きてきたのですね。弱気になった自分が恥ずかしくなりました。

今1週間がすぎました。近所の獣医さんに連れて行きいい子に注射も受けました。まだ小さい鼻はつまっていますし目も結膜炎との事ですが毎日のお薬と目薬で少しずつ回復してくるのが分かります。食事もよく食べるようになり気持ちに余裕が出てきたのか泣き続ける事もあまりなくなってきました。
そんな変化を1週間体験しジャクソンは私の大切な家族の1人となりました。ARKに問い合わせるとまだジャクソンは里親さんが決まっていないという事でうちで是非家族になってもらうことに決めました。名前もアリス(ARIS)にしました。ギリシャ神話の戦争・勇士の神様にちなんで強くなるようにと思いをこめて。

ARKには感謝の気持ちでいっぱいです。もしARKがなかったら日本の社会に生きる動物たちがどのようになってしまうかと考えると本当にARKの重要さを感じ私たちのかけがえのない団体だと思います。
そしてフォスターという一時預かりの制度がいかに大切かも身にしみて感じました。

動物はとっても純真な子たちで人間に捨てられても忘れられても虐待されても一生懸命生きようとします。動物は何歳になっても中身は純真な赤ちゃんと一緒だと思います。ARKでは多数の子たちをかかえているのでスタッフの皆さんは一人一人に必要な愛情や時間をあげられなくてさぞもどかしいと思います。私のような個人でもフォスターとしてお手伝いすることができます。そして一時的でもわんちゃんや猫ちゃんたちに安心できる環境と愛情を与えてその子たちを見守っていると心の中が暖かくなってきます。ちょっとしたかわいいしぐさやけなげさに笑顔が絶えません。すーすー寝ている姿をみていると心が洗われたような安堵感を感じます。かわいいだけではなく大変なこともありますがそれが命だと思います。

これからもフォスターとして少しでも行き場を必要としている子たちの役にたてればと思っています。

(元ジャクソン、今はアリス)

 

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