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アークドッグ、セカンドチャンスを求めてイギリスへ

2006年01月01日

アークドッグ、セカンドチャンスを求めてイギリスへ

2006年6月 アークの犬10頭が、動物福祉先進国イギリス、ロンドンにあるバタシー ドッグズ & キャッツ ホーム(Battersea Dogs & Cats Home)へ、新しい里親を探しに旅立ちます。過去に日本のシェルターから海外の個人の家庭へ犬を里親に出したことがあっても、こんなにもたくさんの犬を一度に海外へ送るのは初の試みです。

それでは、今回私達はなぜ、イギリスのバタシーを選んだのでしょうか?
それは、バタシーは160年という世界で最も長い歴史を持ち、また、大変権威のあるシェルターだからです。イギリスでは子供の里親になるよりも、バタシーの犬の里親になる方が難しいと言われています。そのため、バタシー出身の犬を「バタシードッグ」と呼び、飼い主は非常に誇り思うといいます。イギリスでは、ペットショップで生体販売は行われておらず、犬や猫を飼うときは一般的に直接ブリーダーに行ったり、シェルターへもらいに行きます。シェルターにいる殆どの子は雑種ですが、イギリス人はそんなことは気にしません。また、日本では非常に里親を見つけるのが困難な老犬や障害をもつ子達も、若く健康な子達同様もらわれていきます。

日本では犬を飼う場合、殆どの人が純血種をペットショップから購入します。また、それらは「流行犬」の為、その流行が終わると保健所に連れていかれることも多々あります。悲しいことに、日本では毎日1200匹以上の動物が、ガス室の中で殺されています。今回の試みは、旅立つ子達に第二のチャンスを与えることだけではなく、日本の動物がおかれている状況を国内外に広く知らせ、人々の関心を呼び起こし、そして雑種も素晴らしい家庭犬になるということを実証することを目的としています。もちろん、日本犬の素晴らしさを、イギリスの人々に知ってもらうことも、目的のひとつです。イギリス原産の犬種が日本では人気なのに対し、イギリスでは日本犬に対する人気が年々高くなってきているというのは、大変皮肉なことです。

日本からイギリスに犬を送るには、手続きに非常に長い時間を要する、厳しい検疫に合格する必要があります。検疫は、マイクロチップの挿入をはじまり、狂犬病の予防接種、そしてひと月後に検査の為、血液を指定の機関に送るといった手順をふみます。そして血液検査に合格したら、6ヶ月間の待機期間を経てペットパスポートを与えられるのです。

今回、アークにいる300頭の犬のうち、最もふさわしいと判断されたのは、クインシー、ネルソン、ディック・ターピン、ハムレット、エリン、ボウ、カズ、セイモア、レオン、そしてマーマルの10頭。どの子も物怖じしない強さをもち、かつ、おおらかさと優しさをあわせ持つ子達です。日本犬の勇敢さと凛とした風貌は、欧米で日本犬が人気な理由のひとつです。最終選考まで残った他の数頭もいましたが、フィラリアが弱陽性という理由で、惜しくも選ばれませんでした。フィラリアは投薬を続けることで、多くの場合、体内から排除することは出来ますが、イギリスにはフィラリアはほとんど存在しない為、フィラリアが陰性の子だけを選びました。

今回は、アークスタッフ2名が、関西国際空港からロンドンのヒースロー空港まで同伴し、犬が環境に慣れるまでの期間滞在します。出発時期は、ロンドンで6月22日に行われるファンド・レイジング・オペラにあわせ、6月中旬を予定しています。今年の演目は、プッチーニの「蝶々夫人」。日本にゆかりの深い「蝶々婦人」が演目に選ばれ、戌年に日本から日本犬が到着するというのは、特に意味のあることであると言えます。

現在アークでは、これら10頭の犬のスポンサーになって下さる方を募集しております。今回のプロジェクトには、空輸費(一頭あたり約10万円)、輸送の為のキャリア代、血液検査にかかる費用、そしてその他の費用がかかります。また、今回の「捨て犬がイギリスで幸運と名声を得る」というストーリーを取り上げて下さるメディアへコンタクトをお持ちの方は、どうぞお知らせください。

この子達のスポンサーになって、第二の人生へのステップのお手伝いをしてください。
バタシーでの生活や新しい家庭での様子は、写真を添えて随時お知らせします。

今回イギリスへ旅立つ子達

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バタシードッグズ&キャッツホーム (Battersea Dogs & Cats Home)

バタシー ドッグズ & キャッツ ホームは、1860年にメリー・ティルビー氏によりロンドン北部のホロウェイに設立され、1971年、現在の場所に移転しました。バタシーのようにひとつの部屋に一匹、または二匹のみでいれるといったぜいたくな施設は当時はどこにもなく、大きな犬舎に数頭で入れるのが一般的でした。

当時は、施設に入れられる犬の数は、現在よりも格段に多く、1881年には、1年間で約16,000頭、1886年には35,000頭、そして、ピークを迎えた1896年には、その数は42,500頭にものぼりました。1990年代の年間約10,000頭という数に比べ、1890年代には今よりも更に多くの犬が救い手を求めていたことがわかります。そして1860年の設立以来、300万頭もの犬や猫を引き取り、2004年には5814頭もの動物に新しい家庭を見つけました。

年月を重ねるごとに、バタシー ドッグズ&キャッツ ホームはその規模を大きくし、現在ではイギリス中に3つの施設をもつまでになりました。

バタシー ドッグズ&キャッツホームのホームページ(英語のみ)
http://www.dogshome.org/

お振込先
郵便口座
00900-0-151103
特定非営利活動法人 アニマルレフュージ関西

通信欄に「バタシードッグ」と、お書き添えください。

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