あるホーダーのケース
– アニマルホーダー
ホーダーとは、物を捨てることができず集めてしまう病理のある人に対して使われる専門用語で、動物を集める人をアニマルホーダーと呼びます。
その意味の通り、アニマルホーダーは自家繁殖を繰り返したり、動物保護を目的として間違った方向で犬や猫などをどんどん連れてきては抱え込む人のことを指します。
アニマルホーダーの問題は、管理可能な動物の頭数を超えてしまい、動物に必要な給餌、衛生管理、医療処置ができなくなることです。過剰多頭飼育をした結果、劣悪な環境の中で動物たちは感染症にかかり、餓死や共食いが広がります。不衛生な環境は動物に及ぶだけではありません。糞尿や死骸などを放置しているために、人間にとっても深刻な健康被害となるのです。
それでもなお本人に自覚がないため、状態は悪化の一途をたどるのみです。
アニマルホーダーは日本だけでなく、海外でも大きな社会問題となっています。
アニマルホーダーは立派な動物虐待行為ですが、欧米では精神疾患(強迫性障害、依存症、収集癖など)であると言われ、病理的な問題としても研究が進んでいます。
近年、ようやく日本でもアニマルホーダーへの認識が高まってきましたが、明るみに出るのはまだほんの一部です。
動物の愛護及び管理に関する法律では飼い主の適切な飼育が義務とされていますが、動物は所有物とされているため、飼い主本人が放棄しない限り、動物保護団体はおろか、行政ですらも介入できません。緊急保護や飼育禁止命令など、一刻も早い法の強化を望むばかりです。 また、仮に一旦飼い主が放棄して動物たちを保護できたとしても、一番の問題である飼い主の心の病気が治らなければ、また同じことが繰り返されてしまうのです。
– 2000年7月
2000年7月、ARKに1件の相談がありました。一人暮らしの女性が100匹以上の犬を飼っているが、世話ができておらずひどい状態なので何とか助けて欲しいというものでした。相談者は女性の友人で、彼の話によると、ほとんどの犬がプレハブ小屋に閉じ込められている状態で、中には入れないが衰弱して病気にかかった犬が多くいるとのことでした。
厄介なことに、外で飼われていた犬たちは健康状態が比較的良かったことです。悲劇は誰にも見えないプレハブ小屋の中で起こっていました。犬たちは飢えや極度のストレスと精神状態から共食いをしていました。 また飼い主である女性は子犬が生まれるのを何よりも楽しみにしていましたが、生まれた子犬たちが他の犬に食べられてしまうことすら楽しんで見ていたのです。
私たちが実際に彼女と話すと、意外にも落ち着いていました。彼女との話し合いで、手術が終わって犬たちの健康状態が落ち着いたら彼女の元に戻す約束の上でしたが、 ひとまず6匹の犬に避妊去勢手術を施す承諾を得ることができました。そのうち1匹の犬が妊娠していたため、すぐに手術を施す必要がありました。
翌日、彼女が犬たちを見たいと突然ARKへやってきました。手術が終わった犬を1匹見せたところ、”子犬はどこにいるんだ?”と聞いてきたので、手術をしたので子犬はいないという説明をした途端、彼女の態度が激変し、私たちを殺人者だと叫び、ガソリンの入った缶を持ってきて脅してきたのです。
私たちは保護した犬たちを何とか守ろうとしましたが、彼女の突然の行動になす術がありませんでした。
ホーダーの人が一瞬で人が変わってしまうのを目の当たりにした瞬間でした。
それでも何とか1匹だけは渡さずに済みました。その1匹がガッちゃんです。ガッちゃんは2017年4月に虹の橋を渡るまで、ARKのオフィスドッグとしてたくさんの方に愛されました。
それから何年後かのことです。突然警察から連絡がありました。飼い主が交通違反で逮捕され留置所にいるとのことでした。今しかないと思った私たちは、早速彼女の元を訪れ、残された犬たち全員の手術を施す同意を彼女からもらうことができました。
それでもこのケースはまだ終わっていなかったのです。
– 2017年3月6日
その電話は丹波保健所からのものでした。 彼女の自宅で大家事があり、ほとんどの犬が焼死したとの内容でした。彼女の遺体とともに…。
何匹か生き残っている犬もいるとのことだったので、私たちはすぐに現場に向かう決断をしました。
– 3月7日
警察から立ち入りの許可をもらい現場へ駆けつけました。17年前ももちろんひどいものでしたが、その年月がいかに環境を悪化させていたのか、焼け野原からでも見て分かるほどでした。無残にも焼け残った5匹の犬の死骸もまだ残されていました。現場から2匹の犬をレスキューすることができ、1匹の犬はドゥエフ、もう1匹はドゥエフ・トゥーと名付けました。
保健所の方の話によると、まだ生き残った犬がいるとのことだったので、見つけ次第ARKに連絡をもらう約束をしてその日は現場を去りました。
– 3月8日
保健所から1匹の白い犬がトラップにかかったと連絡がありました。 ラッキーなことに、私たちが現場へ向かっている途中にももう1匹の犬がトラップにかかり、2匹の犬をレスキューすることができました。ビーコンとフレアです。
これで凄惨な現場に犬はいなくなりました。
初めてのコンタクトから17年、長かった悪夢がようやく終わりを迎えました。
レスキューした4匹のうち、フレアには里親さんが決まり、先日リホームしました。3匹シェルターで新しい家族を待っています。彼らの第2の犬生が穏やかでしあわせなものになるように願ってやみません。
– エリザベス・オリバー



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